Q1. | 気管支喘息の発症率が世界的に増加していると聞きましたが、本当ですか。 |
A1. | この問題に対する大規模な調査が少ないため断定することはできませんが、少なくとも英語圏のいくつかで、過去30年間にわたって喘息治療の為に医療機関を利用する率の増加が認められています。 特に小児と若年成人にその傾向が強く、英国とオーストラリアでは、過去30年間にこの年代層で相対値で約50%増加したと報告されています。 オーストラリアでは、小児で気管支のヒスタミンに対する反応性が亢進(こうしん【注1】)した比率がこの期間に2倍になっており、おもにこれは家ダニへの曝露に起因しているとされています。 我が国では血清の特異的IgEの調査から、空気中の一般的アレルゲンや食物アレルゲンに対するアレルゲンに感作されている人の割合が、1978年の21%から、1995年には39%に増加している、と報告されました。 おそらく、タバコの煙を含む環境汚染が物質の直接的または補助的作用や、食事の変化などさまざまな環境の変化に基づいていると思われます(Clin.&Exper.Allergy 25: 791、1995)。 |
【注1】 | 亢進(こうしん):次第にたかぶること。また、物事の度合がはげしくなること。「心悸亢進」、「病勢が亢進する」 |
Q2. | 気道の反応性が亢進する原因としてどのような事が考えられますか。また、気道の反応性亢進を抑える方法はあるのでしょうか。 |
A2. | 気道過敏性の本態は好酸球やそれから放出されるMBPなどの物質によって気道の粘膜が破壊される結果、慢性剥離性気管支炎が生じるためと考えられるようになりました。 しかし、好酸球を動かしているのはCD4Tリンパ球で、これから出されるIL-4、IL-5などのサイトカインが発症に重要な役割を演じていることが分かってきました。 一方IL-8は逆に、好酸球の局所への浸潤を抑制することが報告されました。 これらのことから、気道過敏症はCD4Tリンパ球に影響を与える種々の因子が関与していると思われます。 吸入ステロイド薬は好酸球やTリンパ球の作用を抑制し、気道粘膜の再生を促す代表的な薬剤です。 将来はIL-4、IL-5作用の抑制やCD4Tリンパ球を抑制する物質やIL-8の局所への投与も難治性気管支喘息の治療に応用されると期待されています。 |
Q3. | 気道過敏性どのようにして調べますか。また、気道過敏性の程度が病気の重症度や予後に関係していますか。 |
A3. | 気道過敏性を客観的に調べる方法として、気道平滑筋収縮作用を持つアセチルコリン(Ach)、ヒスタミン、メサコリン等による吸入試験があります。 Achを用いる場合、生理食塩水の次に、低濃度から倍々に濃度を上げたAchをネブライザーで2分ずつ吸入させ、吸入後の1秒量が試験前のそれより20%以上低下したときの濃度をAch閾値(いきち【注2】)とします。喘息患者では10,000μg/ml 以下のAchで閾値に達します。 わが国では、オスシレーション法による呼吸抵抗を連続的に測定して気道過敏性を検査するアストグラフ法が普及しています。この場合、吸入薬はメサコリンが用いられます。 自動的に高濃度のメサコリンに切り替えられ、呼吸抵抗が初期抵抗の2倍以上に達したときのメサコリンの濃度をメサコリン閾値とします。 健常人では、通常メサコリン閾値は2,500μg/ml以上です。 これらの検査はしかし、努力性呼出によって調べることが多く、気道過敏性そのものに影響を与えることが指摘され、また、試験薬剤そのものによって発作が誘発されることもありました。 最近、体プレチスモグラフ(Body Box)が使用されるようになりました。 これは、本法によって測定される気道径の変化に対して極めて敏感に反応し、しかも安静呼吸に近い方法で測定されます。 この方法では、健常人のほとんどは5,000μg/ml以上のAch濃度が反応閾値となります【文献1】。 いずれにせよ、Ach閾値の高い場合は気管支喘息として軽症で予後がよく、Ach閾値の低い場合はより重症であるとされています。 また、症状の改善度や薬剤の効果の指標とされる事もあります。 |
【注2】 | 閾値(いきち): 生物の感覚に反応を生じさせる最小限の刺激の強さ。限界値。 |
【文献1】 | 向坂泰夫・安静呼吸法による気道抵抗を用いた気道過敏症評価 − アセチルコリン吸入試験による検討 −。金沢医大誌14:48、1989 |
Q4. | アスピリンなどの解熱鎮痛薬で喘息発作を起こすことを注意されていますが、発作を防ぐには、薬剤や食品の面でどのような注意が必要でしょうか。 |
A4. | いわゆるアスピリン喘息患者は、成人喘息の10〜15%を占め、酸性非ステロイド系解熱鎮痛薬によって、発作が生じやすくなります。 この場合、薬剤のみでなく、食品や医療品添加物のなかにある色素の食用黄色4号や、防腐剤として使用されるパラベンや安息香酸ナトリウムにも同じような作用があるといわれ、また、食用黄色5号、食用赤色2号ならびに102号や香水、化粧品、石鹸、シャンプーや自然界のサリチル酸化化合物であるイチゴ、キュウリ、ブドウ、トマトなどにも疑いがむけられています。 上記の黄色4号、(タルトラジン)は、黄色のジュース、ケーキ、漬け物に含まれており、また、いくつかの薬剤(シナール錠、ボルタレン錠、リスモダンカプセル、ワソラン錠、など)にも含有されており、いわゆるアスピリン喘息の方は注意する必要があります。 また、β受容体遮断薬、モルヒネ、ネオスチグミン(ワゴスチグミン)、スキサメトニウム(サクシン、レラキシン)、クロルプロマジン(ウインタミン、コントミン)は喘息患者には禁忌(きんき【注3】)です。 そのほか、抗生物質(合成ペニシリン、セフェム系製剤、テトラサイクリン系)、ACE阻害薬(レニベース、カプトリル、セタプリル、アデカット)、コリン作動性薬剤(メサコリン、カルバコール)、抗癌剤(ブレオ、メソトレキセート)なども要注意薬剤です【文献2】。 なお、アスピリン喘息患者の中には副腎皮質ホルモンに過敏な方もあり、特に溶解液にパベランを含むヒドロコルチゾン(ソル・コーテフ)には注意が必要です。 一方、最近発作誘発因子として、アルコール摂取が問題にされるようになりました。日本人の場合、飲酒によって約50%に喘息が悪化するといわれています。 これは、エチルアルコールの代謝産物であるアセトアルデヒドによっておこると考えられています【文献3】。 |
【注3】 | 禁忌(きんき): ある薬剤や治療法を試みる場合、病気を悪化させるなど、人体に何らかの悪影響を与えるとしてそれらは用いるべきでないということ。 |
【文献2】 | Hunt, L.W. et al.: Asthma producing drugs. Ann. Allergy 68:453, 1992 |
【文献3】 | 渡辺尚:アルコール(飲酒)誘発喘息の発症機序に関する研究 − 特にアセトアルデヒドとの関連について −。アレルギー40:1210,1991 |
Q5. | 喘息は治癒するのでしょうか。 |
A5. | 小児期に発症した喘息の約半数は成人になるまでに改善するといわれています。 しかし少なくとも成人の喘息は完全に治癒するものではありません。 喘息発作を誘発する因子は雑多で、たとえばアルコール誘発喘息ではアルコールをやめれば、運動誘発性喘息では運動をしなければ、特定のアレルゲンで誘発される場合はそのアレルゲンを避ければ発作を防ぐことが出来ますが、これらでも喘息が治癒したわけではありません。 基本的には、喘息は発作を予防するためのコントロールが必要な病気です。 そのため、日常の自己管理が大切です。 すなわち、吸入ステロイド薬で発作を防止し、発作が出た場合はβ刺激薬を吸入して症状を改善させるとともに、症状やピークフローメーターの値で重症度を決め、対処することが必要です。 |
Q6. | 喘息発作で死ぬことはありますか。 |
A6. | 喘息発作で死ぬことはあります。 しかし、各自が気管支の炎症をおさえるための吸入を毎日行い、喘息の重症度をつねに把握して必要に応じて医師と相談しながら症状をコントロールしていれば大部分の喘息死は予防可能と思われます。 最近米国のボストンのグループから興味深い報告がありました。ボストンの地域の内で裕福な人々の居住区と貧しい人々の居住区とで喘息による入院の頻度を比較したところ、後者のグループに入院がはるかに多かったというものです。 その原因は、前者でステロイドの吸入療法が浸透しているためであると結論つけられました。 喘息死の発生率や原因などについて本文【文献4】を参考にして下さい。 |
【文献4】 | 浅本仁:− NIHの新しいガイドラインをも踏まえて − 気管支喘息へのアプローチ:先端医学社:1993年第一版、1997年改訂第一版第一刷、2000年改訂第一版第二刷 |
Q7. | β2刺激薬の吸入と喘息死との関係を指摘されたことがありますが、現在はどのように考えられていますか。 |
A7. | β2刺激薬の一つであるイソプロテレノールの吸入と喘息死との関係が報告されましたが、その後β2刺激薬の販売量の急激な増加にも関わらず、喘息死は増加していないとして、β2刺激薬の吸入が気管支喘息に対する第一選択薬としてその定期的使用(レギュラーユース)が一般的になりました。 しかしその後また、この薬剤の大量投与または定期的使用と喘息死との関係がクローズアップされてきました。 最近のガイドラインではβ2刺激薬は定期的ではなく、発作時に使用することが推奨されています。 もっとも、喘息死がβ2刺激薬の過量によっておこるか否かの決着はついていません。 しかし、重症の喘息患者にβ2刺激薬を大量に与えても、心臓・血管系に悪影響を与えないという意見の方が多いようです【文献5】、【文献6】。 日本では最近フェノテロール(ベロテック)の吸入が患者の死をまねくとマスコミで報道されました。 フェノテロールは、1パフ200μgで、同等のβ2選択性をもつサルブタモールが1パフ100μgであるのに較べてより強力な気管支拡張作用がある、として1976年にニュージーランドで上市されました。 1990年ごろから、ニュージーランドの一部の研究者から、この薬剤の吸入によって喘息が重症化し、高率に喘息死が起こる、という論文が発表されました。 ニュージーランドでは1979年に喘息死が世界第1位となり、この発表を機にフェノテロールの使用を中止したころから急速に喘息死が少なくなったことや、我が国での喘息死患者にこの薬剤を吸入した者が多かったことから、マスコミに取り上げられました。 しかし、医学界では、フェノテロールを含むβ2刺激薬の長期間かつ過剰な投与が気道の過敏性を増加させ、また、血清カリウムを低下させることがあるという意見があるものの、まだ、この問題に対してはっきりとした結論が出ていません。 むしろ、フェノテロールを吸入した後死亡した人の大部分は、重症発作であるのにこの薬剤のみに頼りすぎたり、それ以外の適切な処置がなされ得なかったなどのためではないかと考えている研究者がニュージーランドでも結構あるのです【文献6】。 フェノテロールが喘息死をまねくという考えの一方で、1996年11月に医学誌" Thorax"【文献6】にニュージーランドからこれに反対する論文が発表されました。 1989年までに南オークランドの病院の救命センターに入院し、倒死的喘息か喘息死と判定された患者に、サルブタモールとフェノテロールを使用した場合を比較検討したものです。 その結果は次の通りです。 すなわち、第一に、倒死的喘息や喘息死はサルブタモール使用者よりフェノテロール使用者に多かったこと、第二に薬剤使用前の患者の喘息死のリスクを考慮すると、両者に差は認められなかったこと。 つまり、フェノテロールは最初から喘息死のリスクの高い患者に使用されていたというものです。 そして第三に、死因は低酸素血症による、としています。 これは私も本文【文献4】で強調しているように、重症喘息発作の場合に気管支拡張薬をいきなり使用すると低酸素血症がさらに進みショックの原因となるからです。 フェノテロールが喘息死をまねくという論拠に一つは、1980年には世界最高の喘息死を記録したニュージーランドで、フェノテロールの発売を禁止してから急速に死亡率が低下したというものです。 しかし、ニュージーランドでの喘息医療はフェノテロールに使用禁止のみではなく、種々の改革が行われたのです。 第一に、オーストラリアや英国とともに世界に先駆けて喘息のガイドラインを発表しました。 本書【文献4】のなかでも述べたように、喘息は気道の炎症であるから、吸入のステロイド薬によって発作を起こさないように予防する一方、発作時にのみβ2刺激薬を吸入すること、患者にはピークフローメーターを持たせて自己管理をおこなわせ、必要時に救急外来を受診させるなどの方法です。 こうした方法が現在の世界の喘息医療の基礎になっているのです。 ニュージーランドやオーストラリアではまた、政府主催の喘息協会が設立され、つねに患者に情報を提供するなど行き届いた医療がおこなわれています。 しかし、フェノテロールの問題についいては日本の喘息専門医によって十分に論議されているわけではありません。 それゆえ現時点では、フェノテロールに限らずβ2刺激薬を使用する際、発作時のみに投与し、なるべく1ヶ月に2管以内におえるように指導すること【文献7】、スペーサーを用いた正しい吸入の仕方を患者に指導すること、持続性の喘息ではステロイド薬を定期的に吸入してβ2刺激薬の吸入を必要度を減らすこと、などの配慮も必要でしょう。 それと同時に、関連学会においても、今回の問題の基礎になったデータを分析し、専門家を含めた十分な論議がおこなわれるべきではないかと思います。 |
【文献4】 | 浅本仁:− NIHの新しいガイドラインをも踏まえて − 気管支喘息へのアプローチ:先端医学社:1993年第一版、1997年改訂第一版第一刷、2000年改訂第一版第二刷 |
【文献5】 | Newhouse, M.T.(小山弘訳):閉塞性肺疾患における吸入療法 − エアロゾルによる呼吸器用薬剤投与の原理とドラッグ・デリバリー・システム。最新医学46:1587, 1992 |
【文献6】 | Garrett, J.E. et al.:Risk factor of severe life threatening asthma and β2 agonist type:an example of confounding by severity. Thorax 51:1093,1996 |
【文献7】 | Guidelines for the Diagnosis and Management of Asthma, Expert Panel Report U, Bethesda, Md.:National Institute of Health, 1997(NIH publication no.97-4051) |
Q8. | 吸入副腎皮質ホルモンを長期間投与しても重篤な副作用はありませんか。また、副腎の機能に影響はありませんか。 |
A8. | 吸入ステロイド薬として現在用いられているものはベクロメタゾン(アルデシン、ベコタイド)とトリアムシノロン(まだ我が国では販売されていない)です。 局所での抗炎症作用はヒドロコルチゾンの500倍以上あるのに、非水溶性で。 たとえ吸収されても肝臓ですみやかに非活性化されるため、通常量では副作用は軽微です。 副作用としてはまれに嗄声、咳の誘発、そして大量で口腔内のかびや副腎脂質機能の抑制が報告されています。 成人では後二者は、ベクロメタゾン1,500μgまでの使用では生じないとされていますが、成長期の小児では1日400μgのベクロメタゾンでも副腎機能の抑制が危惧されています。 長期大量療法の場合、1年に1回程度は副腎機能のチェックをすべきでしょう。 口腔内のかびの発症も吸入の量や回数が関係しているようです。 発症すればしばらく吸入をやめて経口ステロイド薬にかえ、口腔内への抗真菌薬の投与で治癒します。 日頃から、吸入後にうがいをすることや、スペーサーを使用することでこれらを予防することができます。 なお、アルデシンは1吸入が50μg、ベコタイドは50μgと100μgとがあります。 1997年の英国胸部疾患学会やNIH新ガイドライン【文献7】、【文献8】では吸入ステロイド薬として新たにブデソニドやフルチカゾンが加えられました。 これらは我が国では未発売ですが、たとえばブデソニドは、たとえ粘膜から吸収されてもその90%は肝で代謝されるため全身性の作用が少なくてすむなどの利点があります。 これらはまた、さらに副作用を減少させるため、大型のスペーサーを用いることが推奨されています。 |
【文献7】 | Guidelines for the Diagnosis and Management of Asthma, Expert Panel Report U, Bethesda, Md.:National Institute of Health, 1997(NIH publication no.97-4051) |
【文献8】 | Britton, J.R. et al.:The British Guidelines on Asthma Management 1995 Review and Position Statement. Thorax 152(suppl. 1):1-2,1997) |
Q9. | 妊娠は喘息に悪影響を与えますか。また、喘息の治療が胎児に悪影響を与えることはありませんか。 |
A9. | 喘息の女性が妊娠すると、約半数では変化がないものの、25%が改善し、他の25%は悪化するといわれています。 また、妊娠中に発作が起こり酸素欠乏状態になると胎児に重大な影響を及ぼし、早産、流産、胎児死亡の原因にもなります。 そのため、妊娠した場合はより慎重にこの病気に対処することが必要です。 日常は、吸入ステロイド薬で発作を予防し、発作が起こった場合は躊躇せずに通常の成人と同様に治療を受けることが必要です。 もちろん、吸入ステロイド薬や吸入β2刺激薬は胎児に何ら悪い影響は与えません。 喘息治療薬で奇形を誘発するものは報告されていませんが、妊娠早期に抗アレルギー薬を服用するのは避けた方が賢明です。 喘息治療薬以外では、テトラサイクリン系の抗生物質は胎児の骨の発育を、甲状腺製剤は甲状腺の発育を抑制します。 抗ヒスタミン薬は胎児を眠らせるので使用しない方が良いでしょう。 最も大切なことは抗炎症薬(副腎皮質ホルモン、クロモグリク酸ナトリウム)を定期的に吸入して発作を予防するよう心がけることです。 |
Q10. | MDIの吸入薬を使っていますが、空になったかどうかを知る方法を教えて下さい。 |
A10. | MDIの吸入器を水中に入れると空の場合は浮き、残っていれば水中に沈みます。 MDIでも吸入ステロイド薬(BDI)でも、1個で約110回程度吸入できるようになっています。 BDIを1回4吸入、1日4回とすれば、1週間で1個を使うことになります。 なお、アルデシンには、噴霧器具に噴霧回数カウンターが取り付けることができ、100回目になると赤い数字が出るようになっています。 |
Q11. | 吸入ステロイド薬は副作用がほとんどないとされていますが、やはり不安です。 今後ステロイド薬に代わる、あるいはステロイド薬で効果の少ない気管支喘息の治療薬が開発される見通しはありますか。 |
A11. | これまで種々の抗アレルギー薬や漢方薬などが追求されてきましたが、いまだにステロイド薬に相当する薬剤は見つかっていません。 米国では、5-リポキシゲナーゼ経路を阻止する薬剤が開発され、抗ロイコトリエン薬としてNIHのガイドラインに適用されました。 我が国で開発されたプランルカスト(オノン)もこれと同系統の薬剤として近い将来適用されるでしょう。 欧米では、DSCGが治療薬の一つとしてガイドラインに入っている程度です。 この薬剤は、ステロイド薬の効かない即時型反応にも効果を示すため意義があります。 また、ステロイド薬でも満足できる治療効果の得られない慢性重症喘息も少なくありません。 最近問題にされている”ステロイド抵抗性喘息”もこの中に入るでしょう。 これらに対しては、シクロスポリン(サンディミュン)の有用性が報告されています(Alexander, A.G.:Lancet 339:324-328,1992)。 金製剤も期待される薬剤の一つですが、注射では副作用の問題もあり、目下我が国でのみ使用されています。 経口薬オーラノフィン(リドーラ)が発売されています。 前述(Q&Aの2)したとおり、CD4Tリンパ球を抑制する物質や、IL-8の喘息治療への適用が近い将来実現するかもしれません。 |